Special Feature

王冠を賭けた恋

エドワード8世をめぐる、4つの品

戴冠せず、貨幣も残さなかった王がいた。
その325日の治世を、いま静かに物語る品々。

1936年12月11日、ひとりの男がラジオの前に座りました。「愛する女性の助けと支えなしに、 国王としての重責を果たすことは不可能だと知りました」──英国王エドワード8世、 在位わずか325日での退位。20世紀の王室史でもっとも劇的な瞬間です。

あまりに短い治世ゆえ、彼の肖像を刻んだ流通貨幣は、ついに一枚も発行されませんでした。 だからこそ収集家は、彼の面影を別のかたちに探します。立太子式の記念メダル。 「もし発行されていたら」を実現したファンタジー貨。そして、彼の代わりに戴冠した弟の記念メダル。 当店がご案内する4点は、その空白を埋める品々です。

王冠をめぐる25年

1911 立太子式 17歳でウェールズ大公に 1936年1月 即位 国王エドワード8世となる 1936年12月 退位 在位325日で王冠を手放す 1937年5月 弟の戴冠 ジョージ6世が即位

立太子から弟の戴冠まで、わずか26年。その間に王冠は二度、主を変えた。

1911

17歳の皇太子 — カーナーヴォン城の記憶

1911年7月13日、ウェールズの古城カーナーヴォン。17歳のエドワード王子は、 13世紀以来という古式の復活のもと、プリンス・オブ・ウェールズに叙任されました。 白貂のマントをまとった皇太子は、練習を重ねたウェールズ語で群衆に語りかけたと伝えられます。 彫刻はウェールズが生んだ名匠サー・ウィリアム・ゴスコム・ジョン。 表に初々しい横顔、裏に海上にそびえる古城とウェールズの赤い竜が刻まれています。

同じ意匠、ふたつの素材 — 発行数の差 金版 129 枚 銀版 5,441 枚 金版は銀版の約 42 分の 1。「コインを持たない王」の金製肖像は、 現実的にはこの立太子式メダルにほぼ限られます。

1936

発行されなかったクラウン

国王エドワード8世の肖像を刻んだクラウン銀貨は、ついに世に出ることはありませんでした。 1954〜55年頃、収集家ジェフリー・ハーンは、退位後のウィンザー公本人の了承を得て、 幻のクラウンを名門ピンチェス社に打たせます。表には「EDWARD VIII KING & EMPEROR」の銘。 彼が慣例を破って左向きの肖像を望んだ逸話は、後の決断を予感させます。

1937

兄のために用意された、その日に

1937年5月12日、ウェストミンスター寺院。この日付は本来、 兄エドワード8世の戴冠式のために予定されていた日でした。 突然の退位により、内気で吃音に悩む弟アルバートが、準備された日付のまま王冠を受け継ぎます。 ジョージ6世とエリザベス王妃──映画『英国王のスピーチ』の王と、のちの「クイーン・マザー」。 現代英国王室の礎は、この日から始まりました。

4点で、ひとつの物語

栄光の出発点(1911)、あり得たかもしれない治世(1936)、そして受け継がれた王冠(1937)。 単体でも価値ある品ですが、並べたとき、そこには一人の人間の生涯と、 ひとつの王朝の転換点が立ち上がります。

掲載品はすべて第三者鑑定機関(NGC / PCGS)のスラブ入り鑑定品です。
ファンタジー貨については、正規発行貨ではない旨を各商品ページに明記しています。

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